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2001年春:槍ヶ岳スキーツアー

飛騨沢・槍沢


T.上高地〜槍沢ロッジ

2001/5月2日

上高地から観光客と一緒に横尾まで歩きたくないので朝一番のバスをめざし沢渡入り

すると、「兄ちゃん2人で¥3,000にしてやるから乗ってきなよ」と言いながら

タクシーの運ちゃんが近づいてきた。ちょっと高いかもしれないけど、余分なものを

沢山もっている自分たちには丁度よかったので乗りこんでしまった。

多少早く上高地入り出来たと思うのもつかの間、登山者は20人もいるではないか。

登山者の考えることなんか皆一緒だなと苦笑いした。

同行のあゆむんはカートで板(テレマークスキー)を横尾まで引きずって行くようだ。

バスターミナルの登山届を出す場所は沢山人がいて、カートに板なんかくくりつけていると

ものめずらしさそうにジロジロ見られる。だが、あゆむんは全く気にしていない。

「あゆむんて面白い人だな〜(自分)」なんて感じた。

そういう自分も軽量化の為にウェーディングシューズで槍の肩まで行くつもりだ。

二人とも「山をナメきった」カッコで歩き始める。自分はウェーディングシューズで

”ピタピタ”。あゆむんはカートで”ガラガラ”。回りの白い目を何とも思わない

自分たちはやっぱり変人なんだろうか。

横尾から上は雪が残っているか要チェック。帰りに何処まで滑りこめるかは重要だ。

おおむね大丈夫であろうと安易に納得したが帰りに滑りこむと、槍沢ロッジ〜横尾

までは半分しか滑れなかった。

槍沢ロッジに着くも自分は日頃の仕事疲れと睡眠不足で昼寝したまま夕食の時間を

むかえてしまった。入山1日目はだいたいこんな調子。あゆむんは元気が余っていたので

偵察に行きたかったらしいが、眠るとそのまま長時間睡眠になってしまった。

夕食後だったか雨が降りだし雪にかわった。「げー明日はラッセルか」と脳裏を

よぎる。


U.槍沢ロッジ〜槍岳山荘

2001 5月3日

朝からミゾレだったり雪だったり、刻々天候が変わった。濡れたくないので

出発はギリギリの9時とした。9時ごろまで降り続いたミゾレも小降りになり、

とてもいい感じになった。出発し旧槍沢ロッジ跡あたりまでくると、天候が

回復し始めた。青空もたまに見えるようになった。

・・・・・・でも、「それって雪崩が起こるってことじゃない?」。あゆむんとも

顔を見合わせながら武者震いした。

・・・・・・槍沢は広いとはいえ、あちらこちらからカコーン・ズシーン・ガコガコ・

ドッスーンなどいろいろな音を立てながら表層雪崩が始まった。雪崩のうちの一つが

自分たちのそばまで近づいてきたが、速度も規模もたいしたことないので、適当に

やり過ごした。だから、あちらこちらから落ちてくる雪崩にびくつきながらも、結果的には

シンフォニーを楽しんでいる感じになってしまった。

大曲を過ぎ急登が始まるあたりから天候は晴れから曇りになり

霧にもかわった。森林限界を過ぎると風も強くなる。

グリーンベルトあたりから槍の穂が見えるはずなのに今回は

見えない。・・・・とても残念。

森林限界を超えたあたりからウェーディングシューズは冷たくなる。当たり前

といえば当たり前。ウェーディングシューズは水を含み、水さら温度を保つしくみなのだ。

でも、気温が5度を下回らなかったので助かった。肩へ通じる急登もふみ跡を使えば

アイゼンも必要なかった。

「実は6本爪アイゼンをブンリンにて購入し乗鞍スキー場で実験。ベルトを工夫
する必要があるが、春の雪には快適で驚き。ウェーディングシューズ+アイゼンも有効な
方法かしら。・・・やっぱり山をナメてますか?」


V.槍の肩〜飛騨沢(2,300m付近まで)+西尾根登攀

2001 5月4日

肩の小屋で準備を始めるが飛騨沢は日陰のため、完全にクラスト状態。

滑降時刻を9時と決めて千畳載越へ12本アイゼンをテレマークブーツに装着し

下降していく。あゆむんは昨晩見たエキストリームスキーヤーに触発されたのか

かなり上部から滑り出す言い出した。コケたら300mは簡単に滑落する場所である。

制止しようと思ったが、アルピニズムを尊重し黙っていた。

斜面はエッジを立てようにも立たないほど硬く凍っていた(動画で確認してちょ!)。

10回ほどターンして、やっぱりコケた。最初はゆっくり滑落が始まったが、徐々に

滑落のスピードが出始めた。ヤバ〜!一瞬、あゆむんの死体と対面している様子が

脳裏をよぎった。50m程進んだであろうか、スキーが突き刺さった状態で、止まった。

後で本人の顔を見るとオデコから血がにじんでいるではないか。岩に頭を摩り付けて

しまったらしい。それとも顔面制動を試みたのだろうか(笑い)。

自分はそんなものを見せ付けられた後なので、かなり慎重になり奥丸山側の稜線から

下ったあたりから滑り出すことにした。斜面はまだ完全にパックされている。

雪崩のあとをコンコン叩き雪質を調べ、まずはその跡を150m程滑降した。

エッジが利いたので細かいターンが心地よく出来た。雪崩の下部あたりからは、

普通の斜面もエッジが利きそうなので滑り出す。メチャクチャ気持ちがいい。

コケた時の事なんか考えない。絶対滑りきってやるという気合で滑りぬける。

あゆむんはそんな場面でも確実にテレマークターンを決めているからスゴイ。

森林限界が近づくと雪が腐りはじめ、スキーも沈みがちになる。眺めも悪くなるので

滑降は2,300m付近(高度計による)で中止する。

自分達のシュプールをみて満足。滑り出しは慎重に選んだつもりなのに

かなり上部であったことに驚く。


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W.槍岳山荘〜槍沢〜上高地

山荘からの滑り出しは、前日までのシュプールが凍り付き、ガリガリ状態。ターン出来そうなところを

狙って降り始める。気持ち良いとは言えない状態。

あゆむんは別の斜面を探し気持ち良くターンを決めていた。やっぱ、この位すべれなきゃなぁ〜

最初の壁を降り、あゆむんと合流後、再び調子よく滑り始めたが、突然視界からあゆむんが

消えた。「???」何が起こったのか、一瞬全くわからなかった。消えた地点に近づくと、

雪の裂け目にハマって落ちそうになっている。裂け目は結構深そうだ。「どのくらい深いの?」

って聞くと。「6m位かなぁ〜」なんて、のんきな調子で答える。落ちてたら、確実に遭難騒ぎ。

助けに行こうと近づくと、「やばいから、こないで」。えっ?。自分が近づくと端が、崩壊しかねない

状態。ちょうど、雪渓の端のような状態。「どうしようかなぁ〜」なんて考えている内に、あゆむんは2〜3度

脱出を試みる。また、自分は「どうしようかなぁ〜」なんて考えていたら、5回目のチャレンジで脱出成功。

ホッと、胸をなでおろした。

あとは、下まで楽しく滑降を繰り返した。

昨年、自分はここを単独で滑り降りたが、その時はシュプールが少なく雪面は快適そのものだった。

でも、今年はバックカントリーブームのせいか、シュプールが多くて気分がいまいち

それでも、槍沢はスケールが大きくて、気持ちが良い。一瞬、空を飛んでいるかのような

錯覚に陥るほど気持ちが良い。

また、ここへ来てしまうんだろうなぁ〜

同行してくれた、あゆむん!  ありがとう。楽しかったよ!



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